第壱 樺太編
「樺太の都市変遷について」
・三木理史(1999)「移住型植民地樺太と豊原の市街地形成」
・辻原万規彦、角哲、青井哲人(2017)「日比谷図書文化館所蔵の樺太・台湾・旭川の火災保険特殊地図」
・辻原万規彦、角哲(2018)「戦前期樺太火災保険特殊地図集成」柏書房→国立国会図書館地図室にあり
→正直豊原や樺太全体に関しては1999年の論文がかなりまとまっている印象あり。2017年に出た火災保険特殊地図と現行のロシアが出している地図を比較する形で日本時代とロシア時代の比較をするのは面白そう。道路の拡幅や軍事施設の進出で大きな変化有り。
ひとまず国会図書館に「戦前期樺太火災保険特殊地図集成」を見に行ってから考えたいところ。
「樺太の統治時代建築、現在の状況」
・井潤裕、越野武、角幸博、高橋学(1997)「南サハリンにおける日本統治期(1905〜45)建築の現存状況」
・角幸博、石本正明、井潤裕、松本浩二、角哲(2002)「南サハリン東部および西部の日本統治期(1905-45)建築の現存状況」
・角幸博、石本正明、角哲、原朋教(2007)「南サハリンにおける日本期の灯台の現況」
→この時点で判明している主要都市の建築の現状が述べられている。しかし、20年程経った現在の状況が気になる。近くて遠い隣国ロシアに残る日本の建築を(コロナ禍後)に見に行く人が増えれば保存される契機となるかもしれない。実際ロシアではモスクワなどのヨーロッパ圏の人が日本の建築を見に観光しに来ることもあり、保存の機運が高まっている。
「樺太の産業と建築」
・可野 信一(1937)「樺太の石炭鑛業に對する一考察」→石炭産業
・花井 洋達(2016)「王子製紙株式会社苫小牧工場における近代化産業遺産群の紹介」→製紙産業
・「王子製紙社史」
・「旧王子技術文献資料」→紙の博物館にあり?
・辻原万規彦、角哲、今村仁美(2015)「旧樺太製糖株式会社豊原工場に 関連する建築物の図面と現況にみる特徴」→製糖産業
→この内容も建築の現状の方の論文に細かな記載あり。王子製紙関連等は現在は状態の悪化もあり、取り壊しの話も上がっている。また、この分野は鉄道との関連性も見出せるし、産業建築というくくりで他の産業との比較などが考えられる。例えば炭鉱(恵須取、川上炭山)や製糖、林業等がある。一次資料は多そうだが、思いのほか炭鉱関連が少ない。
第弐 産業遺産編
「北海道開拓と鉄道」
・駒木定正(2000)「官営幌内鉄道の本所移転に関わる小樽の建築(明治17年〜18年):北海道における炭鉱関連建築に関する歴史的研究 その4」
・駒木定正(2000)「炭鉱の建築」北海道建築士会編『北海道の開拓と建築』
→駒木先生の著作や論文などがかなりまとまっていそう。他の物を読んでみないとわからない。
「南大東島の製糖産業」
・2017「戦前期の沖縄における製糖工場とその建設が地域に与えた影響」
→日本遺産のストーリーには無いが、大東島含めて製糖産業でまとめられそう。辻原先生の論文を元に伸ばせそうな分野。例えば辻原先生は配置図を復元して基礎資料を作る作業をしていたが、その現状調査まで踏み込んではいなかった。
「文化財の活用方法」
・森嶋俊行(2011)「旧鉱工業都市における近代化産業遺産の保存活用過程」
・森嶋俊行(2014)「近代化産業遺産の保存と活用に関する政策的対応の比較」
・矢作弘(2004)「産業遺産とまちづくり」学芸出版社
・平井健文(2017)「日本における産業遺産の観光資源化プロセス」
・皆川雅章(2019)「北海道における地域の歴史公開サイトの現状と課題:デジタルアーカイブの視点からの一考察」
→まだ日本遺産に関わる内容は少ない印象。観光分野や郷土史絡みの論文が多い分野。新たなストーリーとしてまとまりそうな場所の発見や問題点、課題を見つける(?)
「産業遺産を線で結び面的な活用を図るー炭鉄港の事例を通して」
・木原佑希子、松井大輔(2016)「南砺市城端における絹産業遺産の分布及び絹織物工場の外観形態」
→直接的な参考文献ではないが、手法がとても参考になる。手始めに考えられる作業としてその産業の各段階における現存建築を抽出することが考えられる。
第参 鉄道編
「駅舎系」
・大内田史郎(2018)「路線全体における駅舎の保存・活用について」
・藤井耀牛(2019)「岐阜・滋賀・福井県における木造駅舎の研究」
・内田錄雄(1898)「鐵道工事設計参考圖面 停車塲之部」→土木学会図書館にあり?
・長尾篤、丹羽和彦(2004)「わが国近代における中・小規模駅舎 の標準設計について」→建築学会図書館にあり
→地元の旧・上砂川駅を実測してみたいという意味ではやりたい内容
「市電住宅・バス住宅」→個人的にやりたいが卒論ではやらないと思う
・事例 市電:東京、京都、大津
バス:東京、大阪、新潟
・新建築2004年10月号に記載あり?
・西山夘三(2007)「昭和の日本の住まい:西山夘三写真アーカイブズから」創元社
→多くは戦後の復興期に単身者世帯等に供給されたもの。新潟は地震からの復興、大津は民間企業による供給
第肆 博物館編→プロジェクトで続行、詳細は省略
「学芸員」
・2001「博物館と建築史学」
・2010「歴史系博物館と建築資料に関する研究」
「建築系博物館」
・2015「公立歴史博物館の常設展示における実物大建築展示からみた展示計画のあり方」
・2017「日本における木造住宅の移築事例に関する研究」
卒論でやるなら学芸員ではなく実物展示等の建築展示について掘り下げるのはアリ
取り上げた論文の著者(赤字は二回以上登場する人)
三木 理史 奈良大学文学部教授
辻原 万規彦 熊本県立大学環境共生学部教授
井潤 裕 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター境界研究共同研究員
越野 武 北海道大学大学院・工学研究科教授
角 幸博 北海道大学大学院・工学研究院教授
今村 仁美 アトリエイマージュ代表
駒木 定正 北海道職業能力開発大学校建築科講師
平井 健文 京都橘大学経済学部専任講師
皆川 雅章 札幌学院大学法学部教授
松井 大輔 新潟大学自然科学系准教授
丹羽 和彦 佐賀大学工学研究科教授